お正月 ギター

guitar

作詞 東くめ 作曲 滝廉太郎
録音 2022.12.28

<寝言戯言>
下町育ちの我家は正月と言っても家族揃って初詣などとそんな家庭ではなかった。
隣の駅前の神社は左程広くない境内に多くの出店が連なり、お能の舞台では何やら
舞っていても子供には関心はない。見世物小屋には禍々しい看板や恐ろしそうな
文句が並び、もっぱら何箇所にも出ていたおでん屋を全て食べ回り何十個も食べた
記憶、その後は手品のおじさんの前でひたすら見入り夕方店をたたむ頃おじさんが
一つだけ手品の種明かしをしてくれる、級長の鈴木君が若い女性に手相をみてもらい
あなたは何年か後に女難の問題がある、とか何とか言われた事もあったっけ。
家では高校生の文学好きな兄が集まった仲間と百人一首をしている、自分は家族だけの
時に母が横に付いて目当てのカルタを読み上げられるとそれっと合図され目の前に置いて
ある一枚を取って満足していた、その一枚は「これやこの行くも帰るも別れては知るも
知らぬも逢坂の関」だった。
テレビも無い、ラジオも満足に普及していない、そんな時代のお正月でした。

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